ATELIER

in the mountain

山のアトリエ

2003年 (山形県山形市)

鈴木敏彦は東北芸術工科大学で教鞭を取っていた折りに、研究テーマの「モバイルアーキテクチャー」を自ら実践するために、分解・組み立て・移動型のアトリエを山形県西蔵王の集落の一角に構成しました。大学キャンパスから車で10分ほどの場所に150坪の土地を借り、ドーム型のシェルターとアルミ製のキャンピングカーを置き、活動の拠点としました。

南に蔵王、北には月山を望む敷地には、白い花をつける梅の樹や、豊富な湧き水が流れる池がありました。風光明媚な環境に加え、夏でも冷たい清涼な水があふれる土地であることが、お茶を立てる空間を設計する上での決め手となりました。西側には小さな畑を作り、ゼミ生が交代で種を撒いたり手入れを行ったりしたので、夏になるとズッキーニやトマトやかぼちゃがたわわに実り、傍の蕎麦屋に持ち込んで天ぷらにしてもらう楽しみもありました。

主空間として用いた「シェルター」には「素庵/アルミの茶室」、「mobile HANJO」、「mobile ICHIJO」を置き、茶の湯の空間を構成しました。一方、「エアーストリーム」は、水屋あるいは次ノ間として位置づけ、中でゼミの会合を行った。両者は相互補完的に一対を成します。敷地の梅の木や、畑と池を囲むように配置して、この環境全体を「山のアトリエ」と名づけました。

 受賞
第17回東北建築賞

現在、シェルターは解体して東京にて保存しています。エアーストリームは改装して建築家具のコンバージョンを設置しました。

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